[読書]『輝く断片』セオドア・スタージョン(大森望・訳)

輝く断片 (奇想コレクション)

輝く断片 (奇想コレクション)

7/15読了。今年70冊目。
期末テストが終わった日、急にSF短編が読みたくなった。図書館をうろついて、英米文学の棚をあさり、そういえば円城塔が好きだといっていたなと思い出して*1、まずはジョン・ヴァーリイの「残像」を読んだ。視覚と聴覚が失われ言葉を話すことのないコミュニティの話。とても面白かったのだけれど、翻訳のせいか古い印刷のせいか『残像』に収録された他の作品を読むのがつらくなった。
つぎは、スタージョンの「輝く断片」に手を出した。まったくSFではない。でもよかった。男の人が大怪我をした女性を助けて必死に解放する話。とにかく結末がすごい。なんとなく『フリッカー式』を思い出した。他の短編も読んだ。最初の3つは普通。その次からは「輝く断片」とテーマを共有する作品たち。人間が狂気に足を踏み入れる瞬間が描かれる。なかでも「マエストロを殺せ」がとてもよかった。流麗な翻訳。ジャズのビッグバンドの調和について。
テーマの共通した短編を集めるというコンセプトは面白い。でもぼくは初めてスタージョンに触れたので、もっとヴァリエーションのある短編集を読むべきだったと思う。幸運にもスタージョンの作品集はここ数年でたくさん出版されている。