『アースダイバー』中沢新一

アースダイバー

アースダイバー

6/13読了。今年60冊目。
東京の街並みには日本人の無意識が作用していて、地質学的な調査をもとにすれば縄文時代の痕跡を発見できる。渋谷、新宿、東京タワー、その他にも東京の街並みは近代的・理性的に設計されたように見えるが、その構造には神話的構造を深く刻み込まれている。エピソードの引用の巧みさや風景を眺める視点、それを記述する文体、自然に挿入される数々の写真、そのすべてがひとつの世界観を醸し出していて、パッケージされた一冊の本として完成度が高いと思った。
『思想地図vol.4』のインタビューを読んで以来、中沢新一という人物に興味を持っていたのだけれど、複雑な文体の著作が多く、親しみの持てそうな『アースダイバー』から読むことにした。その選択は正しかったようで、難しい記述はほとんどないものの、無意識に注目して文化人類学的に分析する中沢新一の立場がよくわかった。次はたぶん『チベットモーツァルト』を読む。