『もえない Incombustibles』森博嗣

もえない―Incombustibles

もえない―Incombustibles

3/8読了。今年28冊目。
ネタバレ含む、たぶん。
精神的にまいっていて読書する気になれなかったけれど、だからといって他にすることもなく、じゃあやっぱりぼくには読書しか残っていないじゃないかと何を読むか考えたら、森博嗣しか思いつかなかった。中学時代に読んでいた作家だから、読んでいると落ち着けるような気がしたのだと思う。近くの図書館にあった一冊完結のものから選んだ。
基本的には青春小説。森博嗣の青春小説といえば「スカイ・クロラ」シリーズだが、あのシリーズが未来も過去もない空間に縛られているのに対して、『もえない』の少年は過去に縛られている。そういう意味では「スカイ・クロラ」ほどの不健全さも、歪んだイノセントもない。描かれるのは普通の高校生活であり、主人公を縛る過去も衝撃的なものではない。むしろここでは、「もえない」というテーマが通底していることに注目して読むべきだと思う。
森博嗣の作品を久しぶりに読んで、森博嗣の文章ってあまりリーダビリティが高くないんだなあと感じた。昔森博嗣作品を大量に摂取していた時期は、とても肌によく馴染む読みやすい文章だと思って読んでいた気がする。自分の思考のリズムにぴったり合うような、そういう感覚。こうして、いつの間にか自分が大きく軌道を逸れていることを知る。そうはいっても3時間で読み終えたのだから、十分にリーダビリティは高いのだけれど。