『大工よ、屋根の梁を高く上げよ シーモア-序章-』J・D・サリンジャー
- 作者: J.D.サリンジャー,J.D. Salinger,野崎孝,井上謙治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1980/08/27
- メディア: 文庫
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先日、サリンジャーが他界した。そのニュースをTwitterで知ったとき、ぼくは真っ先に未発表作品の出版を期待した。すみません。
「大工よ、屋根の梁を高く上げよ」は、シーモアの結婚式の一日を弟バディの視点から描く話。といっても、シーモア自身は登場しない。結婚式にシーモアは現れず、結果的に小説には一度も姿を見せない。新婦の一族に巻き込まれたバディのぎこちないディスコミュニケーションは、まさにサリンジャーの得意分野でおもしろかった。「シーモア-序章-」は、うってかわってバディの饒舌で語られるシーモアの若き日々。波を描くようにしてシーモアに近づいたり遠ざかったりする。