『大工よ、屋根の梁を高く上げよ シーモア-序章-』J・D・サリンジャー

大工よ、屋根の梁を高く上げよ/シーモア-序章 (新潮文庫)

大工よ、屋根の梁を高く上げよ/シーモア-序章 (新潮文庫)

2/28読了。今年24冊目。
先日、サリンジャーが他界した。そのニュースをTwitterで知ったとき、ぼくは真っ先に未発表作品の出版を期待した。すみません。
「大工よ、屋根の梁を高く上げよ」は、シーモアの結婚式の一日を弟バディの視点から描く話。といっても、シーモア自身は登場しない。結婚式にシーモアは現れず、結果的に小説には一度も姿を見せない。新婦の一族に巻き込まれたバディのぎこちないディスコミュニケーションは、まさにサリンジャーの得意分野でおもしろかった。「シーモア-序章-」は、うってかわってバディの饒舌で語られるシーモアの若き日々。波を描くようにしてシーモアに近づいたり遠ざかったりする。