『雲のむこう、約束の場所』

新海誠が『ほしのこえ』の次に制作した作品。脚本から作画までほとんど一人で作っていた『ほしのこえ』と違い、たくさんのスタッフを集めて作られているので、アニメーションとしての質は前作から格段に進歩していて、とても見やすかった。
個人的に、とても大切にしたい作品だと思った。少なくとも、『ほしのこえ』よりも遙かに好きだ。序盤は、飛行機を作って塔まで飛ぶ、というロマンチックな物語のように見えてあまり期待していなかった。しかし、その夢は挫折して、これは『ほしのこえ』が挫折した後の物語なんだとわかった。主人公がやりきれない高校生活を送りながら15歳の約束に引きずられていくシーンの描写には特に共感してしまった。並行世界と塔というSF設定が、新海誠の世界観に絵的にもストーリー的にもマッチしていて、すべての物語は最後はSFに行き着くのではないかと突飛なことを考えてしまったほど。エンディングも最高によかった。見終わったとき、これから自分がどう進むべきか決断できるような気がした。