『無間道』星野智幸

無間道

無間道

2/6読了。今年16冊目。
全体は三部構成で、自殺がファッション化して屍体が街中に散乱している「無間道」、管理社会で性生活までも管理されている『1984年』を彷彿させる「煉獄ロック」、場の空気に支配された厳しいクラス社会の「切腹」。それぞれの世界は緩やかに繋がっていて、主人公はこの三つの世界を永遠にループし続ける。世界設定だけで興味を惹かれるものばかりで、文章もデビュー作の「最後の吐息」より遙かに読みやすく、何も考えずに筋を追って読んだ。もしかしたら『ゲーム的リアリズムの誕生』で提示されたループのアンチテーゼとして書かれた小説なのかもしれないと思った。多様な解釈が可能な小説なのだろうけど、ついつい物語や世界設定だけでも面白くて満足してしまった。