『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』

エリ・エリ・レマ・サバクタニ 通常版 [DVD]

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箇条書き。
ノイズミュージックが生まれる現場を見られただけでもこの映画を見た意味は十分にあったと思う。廃墟から採集してきたガラクタで音を鳴らす様はまるで工作少年のよう。中原昌也の無邪気な笑顔がこの映画全体を引っ張っていて、終盤の屋外ライブのシーンも、自殺も、ただ単純にその流れの中で見ることができる。
舞台設定は2015年。しかし、そこで描かれる風景は近未来でも何でもなく、普通の郊外。この舞台設定の意味を考えたけどよくわからず、しかし2015年だと宣言してしまえばそれは2015年なんだということがわかった。映像はその無理も包み込むことができる。
たぶん、青山真治の描く女性はだいたい2パターンに分類できる。無口な少女か、母性ですべてを包容する母親。宇野常寛はきっと批判しているだろうと思って調べてみるとやはりそうだった。『EUREKA』は典型的な「トラウマと癒し」の物語だし、実は青山真治はすごくエヴァンゲリオンと親和性が高い作家ではないかと思った。