『後藤さんのこと』円城塔

後藤さんのこと (想像力の文学)

後藤さんのこと (想像力の文学)

2/4読了。今年15冊目。
円城塔エクス・ポSFマガジン早稲田文学、思想地図など多様な雑誌で発表した小説をまとめた作品集。「後藤さんのこと」はカラー印刷で、序盤はいったいどういう試みなのかよくわからなかったが、光の三原色が出てきてなるほどと思った。次の「さかしま」はさっぱりわからなかった。出てくる単語の意味もほとんど知らなくて、将来読み直したいと思いながら読んだ。「考速」はダブルミーニングの文が頻繁に挿入されて、語り手は個性的で、円城塔の文章の巧みさと言葉遣いのこだわりが味わえる短編だった。銀河帝国の話はおもしろかったからそれはそれで。「ガベージコレクション」はもっとも面白いと感じた。「墓標天球」は時系列が立方体の上を回る、という設定。セリフや文章が硬質でかっこいい。しかし天球の話はよくわからなかった。
こうして具体的に書くと、解らないから面白いとも言えるが、だからといって読み方が不誠実すぎる気がする。大学生になって数学や物理を勉強して、それから読み返して理解できれば。