『探究〈1〉』柄谷行人

探究(1) (講談社学術文庫)

探究(1) (講談社学術文庫)

2/3読了。今年14冊目。
前半は正月から少しずつ読み、後半は今週になってから一気に読んだ。
扱われているのは、《他者》の問題だ。誰にとっても普遍的で身近で、ぼくにも深く関係している。柄谷自身も、「この仕事を無期限に持続するだろうという気がしてきた」と語っている。
しかし柄谷行人なのだから、普遍的で語り尽くされた問題だからといって、内容がありきたりに終わってしまうはずがない。後期ウィトゲンシュタインを参照しながら、有名な哲学者たちの独我論を次々に暴いてゆく。「語るー聞く」の関係に《他者》は現れないことを指摘し、「教えるー学ぶ」や「売るー買う」の関係こそが真に《他者》に向き合っているのだと言う。「売るー買う」の関係を解説するためにマルクスの『資本論』を引用する章では慣れない用語に戸惑ったが、図式的に整理することでニュアンスだけでも感じることができた。