『最後の吐息』星野智幸

最後の吐息 (河出文庫)

最後の吐息 (河出文庫)

12/25読了。今年137冊目。
第34回文藝賞受賞作。星野智幸のデビュー作。
舞台はメキシコで、いかにもマジックリアリズムらしい空気感がある。もし『百年の孤独』を読んでいなければ何が何なのかまったくわからなかっただろう。それくらいに濃密な文章で、舞城のリーダビリティの高い文章に慣れていた状態ではつらかった。グアバの匂いやハチドリの鳴き声がラテンアメリカの風景を立ち上がらせていて、読んでいると酔っているような感覚になるのだけど、実はグアバの匂いもハチドリの鳴き声も知らない。
星野智幸が最近書いた文章を文芸誌で覗いたときはわりと読みやすい文章だったので油断していたけど、初期はこういう作品を書く人だったのかと純粋に驚いた。作風の変化を追うのも面白そうだけど、『無間道』のあらすじを読むとすごく面白そうで、次は何を読もうか迷っている。