『ビッチマグネット』舞城王太郎

ビッチマグネット

ビッチマグネット

12/25読了。今年136冊目。
細部を好きになれる小説だった。語り手の女の子は、深刻なことを考えながらも最後にはどうでもいいような話にオチを作ってしまう傾向にあると思う。真面目に自分の気持ちについて考えていると思っていたら、気がつくと日常のささいな話をして、まあいいやと章が終わる。そういうところがおかしくて、ときどき笑いながら読んだ。
軽快なように見えて、実は「好き好き大好き超愛してる。」を思わせるような愛や物語への考察が紛れ込んでいる。でも、そういった重いテーマをあえて軽いところに持って行ってしまうのが楽しい。実は愛や物語は日常の中に生まれるものだし、そういったものと優劣をつけず等価に扱われるべきだ。主人公はそういうことを自然と身につけて、生活の中の複雑なところとわかりやすいところにうまく対応しているのだと思う。
舞城王太郎を乱読するのはこれで一応終わり。『ディスコ探偵水曜日』はまた今度、機会を見つけて。『九十九十九』は覚悟を決められたら読む。この一週間は感想を書くのがおろそかになってしまった。いろいろと書きたいことはあるので年末は今年のまとめの文章を書きたいけど、長文書くだけの体力と蓄積があるのか心配。