『サマー/タイム/トラベラー 2』新城カズマ
- 作者: 新城カズマ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/07/21
- メディア: 文庫
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舞台となっている辺里市は、開発が進みつつあるけどまだ田舎っぽい場所も残っている。東京は行こうと思えばすぐに行けるけど、やっぱり遠い。それくらいの距離。語り手の初年は成績がとてもよくて、中学のときに開成でも灘でも行けると担任教師に言われたらしい。それでも彼は上京しなかった。高校は辺里市の県立高校に行った。彼は、どうして自分は東京に行かないのかと問われる。
だって、もしもそこに何もなかったら、ぼくはどうしたらいいんだ?
東京で、何も見つけられなかったら? そこには大切なものが何ひとつなかったら? 未来が見当たらなかったら?
あるいは……見つけたくないものを見つけてしまったら?(147ページ)
可能性をいつまで保留するか。これは、そういう話なんだと思う。見なければ、不確定のままでいられる。でも、自意識過剰で好奇心ばかりが先走る高校生には、確定した現実は刺激が強すぎると思う。それは、大学生になってからでいいんじゃないか。かなり個人的な話だけど。