『ティンブクトゥ』ポール・オースター(柴田元幸・訳)

ティンブクトゥ

ティンブクトゥ

10/18読了。今年105冊目。
『ミスター・ヴァーティゴ』の感想で、「やっぱり今回も、もうすべて終わってしまった事件を後の時代から回顧するという語り口だった」と書いたのだけど、『ティンブクトゥ』は違った。事件の終わりは伏せられたまま、「現在」を見ながら物語が語られる。
主人公のミスター・ボーンズという犬が、飼い主ウィリーの死をどう受け止めるかという物語。夢が現実に干渉することを除いては、オースターの作品の中ではメタフィクショナルな性質や寓話性があまりないと感じた。じゅうぶん面白かったけど、少し物足りない。ぼくの読みが浅いだけかもしれないけど。