『時の鳥籠』浦賀和宏
- 作者: 浦賀和宏
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/09
- メディア: 新書
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安藤直樹シリーズの2作目。隣の市の図書館まで遠征してしまった。
浦賀和宏はまだ19歳のまま。ついつい年齢を意識してしまうのだけど、その特徴が感性ではなく構成力にあるから驚いてしまう。若いからこそ感性が鋭い、といってデビューする例はたくさん知っているけれども、完成度の高さで20代、30代の作家と渡り合えるというのはあまり聞かない。もちろん、青春小説としても面白くて、19歳ならではの側面も持っているのだけど。
初期の佐藤友哉は明らかにこのシリーズを意識している(カニバリズムとか特に)。浦賀和宏的なものを目指しながら、けっきょくはミステリーとしてよりも純文学として評価されたというのは、佐藤友哉のちぐはぐさがよく表れていると思った。