『時の鳥籠』浦賀和宏

時の鳥籠 (講談社ノベルス)

時の鳥籠 (講談社ノベルス)

10/24読了。今年106冊目。
安藤直樹シリーズの2作目。隣の市の図書館まで遠征してしまった。
浦賀和宏はまだ19歳のまま。ついつい年齢を意識してしまうのだけど、その特徴が感性ではなく構成力にあるから驚いてしまう。若いからこそ感性が鋭い、といってデビューする例はたくさん知っているけれども、完成度の高さで20代、30代の作家と渡り合えるというのはあまり聞かない。もちろん、青春小説としても面白くて、19歳ならではの側面も持っているのだけど。
初期の佐藤友哉は明らかにこのシリーズを意識している(カニバリズムとか特に)。浦賀和宏的なものを目指しながら、けっきょくはミステリーとしてよりも純文学として評価されたというのは、佐藤友哉のちぐはぐさがよく表れていると思った。