『夏季限定トロピカルパフェ事件』米澤穂信

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

9/2読了。今年88冊目。
『春季限定いちごタルト事件』に続く「小市民」シリーズの第二作。オーソドックスな展開の「日常の謎」が多かった前作と違い、ミステリに関するギミックが多彩になっていた。それだけではなく、『春季限定』では、高校に入学したばかりで小市民を目指す決意が強かった小鳩くんも、それから一年以上が経った『夏季限定』では、少しずつ殻がはがれてきている。推理したいという欲求を小山内さんと二人だけのときは解放して、ずっと守られてきた「互恵関係」は、「依存関係」への変化の兆しを見せ始める。
自意識の過剰さが垣間見えて、青春小説としては前作よりも面白い(ぼくにとっては自意識過剰でこそ青春小説です)。続編が気になる終わり方だったので、またしばらくしたら読むと思う。