『月光ゲーム―Yの悲劇'88』有栖川有栖

月光ゲーム―Yの悲劇'88 (創元推理文庫)

月光ゲーム―Yの悲劇'88 (創元推理文庫)

8/28読了。今年86冊目。
有栖川有栖のデビュー作。新本格の名作を読んでみようと思って、『密閉教室』に続いて読んだ。有栖川有栖には「学生アリスシリーズ」と「作家アリスシリーズ」の二つの代表的なシリーズがあり、『月光ゲーム』は「学生アリス」の一作目にあたるらしい。
矢吹山にキャンプに来た四つの大学生グループが交流を深めるが、矢吹山が噴火し、さらには殺人事件が起こる。つまり、クローズド・サークルが成立していて、また、語り手=有栖川有栖も客観的な視点に徹するわけではなく、学生たちと関わりを持っているから、疑心暗鬼の空間に巻き込まれる感覚を味わうことができた。そういったいみで青春小説としてもおもしろい。しかし、フーダニットに重点を置いた作品で、出てくるキャラクターがとても多いのには困った。ぼくはどちらかというと人名を覚えるのが苦手で、いちいち表紙裏の人物紹介を見ながら読むのも面倒で、前半はかなり混乱した。
「ありすがわありす」って読むんですね。ずっと「ありすかわ」だと思いこんでいました。