『六〇〇〇度の愛』鹿島田真希

六〇〇〇度の愛

六〇〇〇度の愛

8/15読了。今年81冊目。
第18回三島由紀夫賞受賞作。
純文学の感想を書くのは難しい。ぼくには教養がまったく不足しているし、エンターテイメントに比べて扱われるテーマが複雑だからだろうと思う。この小説について感想を書こうとしたときにも一言も書けなかったので、文庫版の解説を書店で立ち読みした。そこでは『六〇〇〇度の愛』における語りが、デュラスの『ヒロシマ私の恋人』と『愛人』の語りのあからさまな模倣になっているということが書かれていた。そして、なぜ広島ではなく長崎が舞台に選ばれたのか、原爆と愛を結びつけて描くことは倫理的に問題でないのか、という話題が展開されていた。
人名はほとんどでてこない。「女」のようなことばで代用されている。読んでいるときは、普遍的な女性像を扱っているのだろうとか、匿名的な世界を表現しているのだとか思っていたのだけど、デュラスを読んでみないことにはなんともいえない。とりあえず保留。