『ムーン・パレス』ポール・オースター(柴田元幸・訳)

ムーン・パレス (新潮文庫)

ムーン・パレス (新潮文庫)

7/16読了。今年65冊目。
水没ピアノ』で何度か引用されていてポール・オースターに興味を持ったので読んでみた。どの作品から読もうかと困ったときに、もし他の作品から読んだらきっとベストセラーの『ムーン・パレス』は読まないだろうと思ったので、初めは『ムーン・パレス』にした。解説によると、ポール・オースター自身が「私がいままで書いた唯一のコメディ」と語っているらしく、じっさい波乱に富んだエンターテイメント性の高い内容だった。
しかしなにより驚かされたのはその文章で、ぼくが知っているどの文章よりも簡潔だった。それでいて単調でなくバリエーションに富み、学ぶところが多かった。翻訳者の柴田元幸のおかげでもあるのだと思う。もし英語の勉強を兼ねて洋書を読むなら、ポール・オースターの文章は最適かもしれない。もっとも、他の作品を読んでいないので、もしかしたら『ムーン・パレス』がわかりやすさを最重要視して書かれた文章である可能性もある。次は、ここから初めて刊行順に従い、『偶然の音楽』にしようと思う。