『アサッテの人』諏訪哲史

アサッテの人

アサッテの人

6/5読了。今年54冊目。
第50回群像新人賞、第137回芥川賞をダブル受賞して2年くらい前に話題になった作品。その頃にはもう有名な文学賞はチェックしていたので、インタビューや書評はいくつか読んだと思います。それで、『アサッテの人』はとても奇妙な発想力を持った人が書いたとても奇妙な作品なんだろうと思い込んでいました。そう思って読むと、わけのわからない奇を衒ったようなものではなく、とても真面目で構成に優れた小説だと感じました。
「ポンパ」という言葉に代表されるような「アサッテ」の世界を、叔父について語ることで浮かび上がらせるというのがこの作品の主題です。確かによくわからない不思議な部分も多いのですが、通してみると筋が一本通っていて、そこからほとんどぶれていません。語り手が書いた小説が登場したりしますが、メタフィクションという感じではありませんでした。