『いじめの構造ーーなぜ人が怪物になるのか』内藤朝雄

いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか (講談社現代新書)

いじめの構造―なぜ人が怪物になるのか (講談社現代新書)

学校や社会からこの苦しみが消えない理由とは? <いじめ研究>の第一人者による決定版!
逃げ出すことのできない恐怖と絶望と悪意の世界=いじめはなぜ蔓延するのか?画期的理論をうちたて注目される〈いじめ研究〉の第一人者が、学校でのいじめ問題の本質を平易に語る。

5/23読了。今年48冊目。
この本には二つの読み方があると思う。一つはもちろん、広義のいじめが起こるメカニズムを解き明かすという本来の読み方。もう一つは、現代の高校でクラス社会を生き抜くためのサヴァイバルの方法を学ぶための本として。
群生秩序(「空気を読む」社会の秩序)が蔓延することで、普遍的な市民社会秩序が弱まり、その場その場の「ノリ」が絶対的法則となる。これによって普段はおとなしい生徒までがいじめを黙認し、果ては参加までする。この本で提示される理論の核となる部分はこんな感じであってると思う。
ぼくは昔から教室の端で一人で遊んでいるタイプだったので、「空気を読む」ことがどういうことなのか、よくわからなくて戸惑っていた。この本の与えてくれるメカニズムは、その答えの一つだと思う。理不尽で陰惨な「いじめ」なんてものはなくなればいいと思うし、筆者が最後の章で提示するラディカルな教育改革には興味を覚えた。