『Self-Reference Engine』円城塔

Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

Self‐Reference ENGINE (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

〈ハヤカワSFシリーズ Jコレクション〉進化しすぎた人工知性体が自然と一体化したとき、僕と彼女の時空をめぐる冒険は始まった。イーガンの論理とヴォネガットの筆致をあわせもつ驚異のデビュー作。Jコレクション創刊5周年記念作品

4/9読了。今年32冊目。
円城塔が「オブ・ザ・ベースボール」で第104回文學界新人賞を受賞した次に発表したSF小説。構成としては連作短編集で、世界観を共有した18個の短編が収録されている。

すべての可能な文字列。全ての本はその中に含まれている。

一行目からひきこまれる。読んでいる間はずっと、脳をフル稼働させて無限を想像することを義務づけられる。
一つ目の短編「Bullet」は、まるで青春小説のような、さわやかな雰囲気。しかし、未来方向から弾丸が飛んできたりするものだから、一筋縄ではいかない。ちょっとSF的想像力を働かせる必要がある。あまり混乱することはなく、次の短編へと進む。あまりつながりがなさそうに見える。でも面白いから気にならない。でも少し似ている気がする。脳の使い方が同じな気がする。ちょっとしたユーモアも面白い。こうやってどんどん引き込まれていく。「Event」くらいでついていけなくなって、理解した気になることを放棄する。巨大知性体にはついて行けない。でも、雰囲気だけ楽しめばいい、とか思うわけじゃない。脳は無限を想像することをやめない。
引用したい文がたくさんあった気がする。むしろ、全ての文がそうやって成り立っている気もする。