『ポストコロニアリズム』本橋哲也(岩波新書)

ポストコロニアリズム (岩波新書)

ポストコロニアリズム (岩波新書)

植民地主義のすさまじい暴力にさらされてきた人々の視点から西欧近代の歴史をとらえかえし、現在に及ぶその影響について批判的に考察する思想、ポストコロニアリズム。ファノン、サイードスピヴァクの議論を丹念に紹介しながら、〈日本〉という場で「植民地以後」の課題に向き合うことの意味を考える、最良の入門書。

2/25読了。今年17冊目。
まず、植民地主義の始まりの年と言える1492年の出来事を、「カニバル」という語の意味を通してとらえる。それによって、コロニアリズムがどういうものか知る。そして、ファノン、サイードスピヴァクの思想の概説が続いていく。わかりやすい問題提起が多く、まさに入門書のお手本といえるような内容だった。ポストコロニアリズムの代表的な文学の解説コラムや、巻末のブックガイドなどが充実しているのも便利。