『ケイゾク』『ケイゾク/特別編 PHANTOM』『ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer』

ケイゾク DVDコンプリートBOX

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おもしろかった。
序盤は一話完結の刑事ドラマで後半はサイコ・サスペンスに移行するテレビシリーズと、その延長としてケイゾクケイゾクらしさを抽出した特別編・映画。
テレビドラマでおもしろいミステリができることに驚いた。テレビで放送されているミステリといえば、いつも同じような展開で予定調和の解決編、という偏見があった。ケイゾクは古典的な推理小説を想起させるようなトリックで、ちょっと考えれば真相がわかってしまうものも多かったけれど、楽しめた。刑事ドラマであろうと洋館とか屋敷とかが重要になる。
登場人物の造型が素晴らしい。天才的な頭脳をもつがずぼらな柴田と、強くて軽そうだけど繊細な真山。ふたりの人物の組み合わせだけでこれだけ魅力的な物語になる。
マニアックなギャグが多い。後になればなるほど多くなる気がする。そもそも古い映画なんてまったく見ないぼくには、元ネタがまったくわからない。それでも楽しい。雰囲気だけで楽しい、というのはちがう。古野まほろの文章がおもしろいのと近い。
映画の後半は露骨に「まごころを、君に」。でも、そんなことはどうでもいい気がする。「まごころを、君に」は危うい。一歩踏み外せば、滑稽になっていた。だから、「まごころを、君に」をトレースすることは、難しいことだと思う。そのうえで別の物語として強度を獲得しているなら、じゅうぶんにすごいことだ。