『LOVE』古川日出男

LOVE

LOVE

2/15読了。今年17冊目。
第19回三島由紀夫賞受賞作。東京を舞台にした群像劇。一人称と二人称と三人称が交ざり合った文体で、今まで読んだ古川日出男作品の中ではもっとも刺激的で、かっこいい小説だった。舞台となる場所が、どんな風景で、どんな雰囲気か、といったことは書かれず、代わりに「目黒区五丁目」みたいに住所がそのまま書かれる。一見すると、まるで描写に乏しい小説のように思えるけれど、決してそんなことはない。その土地の記憶が、その特異な文体から引き出されていく。初めから終わりまで、古川日出男にしかできないことが詰まった小説だと思った。