『叫』

叫 プレミアム・エディション [DVD]

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黒沢清監督作品。黒沢清の映画を見るのはこれで3本目なのだけれど、黒沢清というのはほんとうに「頭の悪そうなこと」をしない人だなあ、と思った。不必要なこだわりを持たず、冷静に完成度の高い映画を撮る。黒沢清の映画を題材にした映画批評を読んでみたい、と思った。
『叫』の舞台は埋立地だ。埋立地の映画とくれば、『パトレイバー』を思い出さずにはいられない。『叫』の中には、『パトレイバー』を連想させるようなシーンがいくつか発見できたので、もしかすると意識しているのかもしれない。
これらの作品の登場人物たちは共通して、埋立地に対して期待と違和の入り交じった感情を抱いている。東浩紀は、『インディヴィジュアル・プロジェクション』の解説の中で、埋立地に対して、「二〇代半ばの僕は、その非人間的な場所に独特の魅力を感じていた」と書いている。フジテレビがお台場に建っていることを当たり前に感じるぼくは、もう埋立地に対するそういった感情とは無縁なのかもしれない。