『響きと怒り』フォークナー

響きと怒り (講談社文芸文庫)

響きと怒り (講談社文芸文庫)

1/24読了。今年10冊目。
最高に面白かった。とくに第二章。『アブサロム、アブサロム!』にも登場するクェンティン・コンプソンの人生最後の一日が語られる。朝起きてぼーっとして大学の近所をぶらぶら歩いているとイタリア人の少女に出会って言葉が通じなくて困って一緒に歩きながら妹が処女を失ったことを思い出していると、イタリア人少女をたぶらかした罪で逮捕されるが友人に助けられて車に乗せてもらって、また故郷で妹の恋人とけんかしたことを思い出していると無意識のうちに現実でも友人を殴ってしまって殴り返されて、一日は終わっていく。まったく正確ではないけどだいたいこんな内容。記憶と現実が文節単位でごちゃまぜになって、何が何だかわからないながらもストーリーではないものがきっちり伝わってくる。クェンティンの血に流れている感情の源みたいなものが。