2009年をふりかえる

今年は144冊の本を読みました。上半期は、『ウォーターランド』や『百年の孤独』を読んだり、ポストコロニアリズムの入門書を読んだりしました。春に佐藤友哉の『フリッカー式』を読んで、それ以降、佐藤友哉に大きく影響された読書生活を送ることになりました。ポール・オースターサリンジャーはもともとは佐藤友哉の影響だったし、ルーツを探る目的で新本格ミステリの代表的な作品を読んだりもしました。他には、円城塔伊藤計劃の作品を起点としていろいろなことを考えました。下半期は自分の好きな作家の作品をつきつめて読むことが多かったです。秋には阿部和重との出会いがありました。『アメリカの夜』は衝撃的で、自分が小説に期待するものが大きく変わりました。また、『死霊』や『アブサロム、アブサロム!』といった大作に挑戦できたのはとてもよい経験になりました。他には、柄谷行人の『日本近代文学の起源』が面白かったです。冬休みに入ってからはいままでの人生で最も読書がはかどる生活を送っています。中でも、舞城王太郎の作品を一日二冊くらいのペースで読んだのは楽しかったです。最後は、東浩紀の『存在論的、郵便的』でした。易から家まで走って帰ってゼロアカの第五次関門をリアルタイムで聴いたり、東浩紀トークにはまって深夜にニコニコ動画で聞きあさったり、動ポモを再読して見知らぬ同級生との論争に備えたけど実際は論争なんて起こるはずもなかったり、とにかく東浩紀にはたくさん楽しませてもらいました。
音楽に関しては、停滞の年でした。知らない音楽を探究するということはほとんどせず、ずっとスーパーカーばかり聴いていました。Last.fmでもスーパーカーがずっとトップでした。他に聴いたものはもともと好きなベテランばかりで、Jim O'Rourke、Sonic YouthYo La Tengo、Flaming Lips、Tortoise、Grizzly Bearの新譜など。もっと自分の知らないものに挑戦するべきだったと思います。しかし、停滞ばかりではなく、生まれて初めてライブハウスに行きました。生のギターノイズは気持ちよくて、酔うような気分になりました。先輩や友達に誘われて、結局四回行きました。どれも楽しかったです。
映画館には七回行きました。チェ・ゲバラの映画が二回、ヱヴァ破、サマーウォーズ20世紀少年第三章(第一章も第二章も見ていませんでしたが、友達に誘われました)、仮面ライダーディケイドの映画が二回。他には、押井守の代表作をだいたい見ました。押井守のマニアックな作品もぜひ見たいのですが、近所のTSUTAYAにはまったく置いていませんでした。
以上で今年消費したコンテンツのまとめは終わりです。もっと知らないものに好奇心を働かせるべきだったと少し思いますが、まあ及第点でしょう。しかし、これらの作品に影響されたのかどうかは不明ですが、今年は人間関係において様々な問題点がありました。ここでは細かく語ることはしませんが、教室でひとことも声を出さない生活が続いたのは疲れました。自分から拒絶しているのだから何の問題もないのですが、明らかに「会話→共感→友情」という回路を破壊しようとしたのが原因です。でも共感って嫌いなんだよなあ。
そういえば、春にTwitterを始めました。リアルの知り合いともフォローし合っているのですが、彼らの前での振る舞いとネットを通してしか知らないフォロワーの両方を相手にポストするのが難しいのと、対面での会話と文字のタイムラインではあまりに構造が違いすぎるのとで、うまく立ち回れませんでした。一日一回くらい、誰にも伝わらないように生活の断片をポストするくらいに落ち着いています。結局適応能力の高い人はどんどん新しいものに食いついていけるし、そうでないぼくは寡黙に読書メモを綴るべきなんだと思います。
最後に来年の目標を。ぼくは来年は受験生になります。そうなると、いちいち読書メモをつける時間はなくなるかもしれません。そうなると、ただISBNを貼るだけではもったいない。どうせなら受験ブログにして、「受験生らしく生活する」という目標の達成に役立てようか、と思いますがあくまで予定だからわかりません。もしかしたら勉強のことなんて何も書かないかも知れません。あるいは、勉強しないかも知れません。とりあえず読んだ本のISBNだけは貼り続けよう、というのがいまの時点での方針です。