『上手なミステリの書き方教えます』浦賀和宏

上手なミステリの書き方教えます (講談社ノベルス)

上手なミステリの書き方教えます (講談社ノベルス)

11/8読了。今年115冊目。
途中で100ページくらい挿入される「萌え」の罵倒について思ったんだけど、罵倒の対象は「萌え」でも何でもよくて、重要なのは語り手が自分が「萌え」に加担していながらそれを嫌うという矛盾ではないだろうか。例えばぼくは自分の通っている学校が嫌いで、そのことをしゃべりだすと三時間くらいは止まらない。だからこの語り手の饒舌さにはかなり共感してしまった。そういう意味では、やっぱりその部分も非コミュの周囲への恨みと同じものだといえる。
いままで読んだ浦賀和宏の小説の中で、この小説が飛びぬけてやりすぎで、でもいちばん面白かった。ラストシーンでは感動してしまって少し恥ずかしかった。でもぼくはこんなにひどくない。ぼくも少し非コミュのようなところがあることは認めるけど、別にいじめは受けてないし少ないけど友達もいる。そういうわけで、この小説は「ひどい場合はこんなふうになってしまう。気をつけよう」という見本として、実用的かもしれないなあと思った。