『ロシア・アヴァンギャルド』亀山郁夫

ロシア・アヴァンギャルド (岩波新書)

ロシア・アヴァンギャルド (岩波新書)

11/8読了。今年114冊目。

ロシア・アヴァンギャルド(ロシア語:Русский авангардルースキイ・アヴァンガールト)とは、19世紀末以来とりわけ1910年代から、ソビエト連邦誕生時を経て1930年代初頭までの、ロシア帝国ソビエト連邦における各芸術運動の総称である。(ロシア・アヴァンギャルド - Wikipedia

稲葉振一郎の『社会学入門』の中で、社会学の誕生と共鳴するようにして「モダニズム」という芸術運動が起こったと知った。驚いたのは、モダニズムは近代の相対化という面があったことだ。ポストモダニズム以前の近代の相対化とはいったいどのようなものだろう、と思って調べたところ、以前から気になっていたロシア・アヴァンギャルドモダニズムに含まれることを知り、この本を手に取った。
ロシア・アヴァンギャルドを見る限りでは、モダニズムポストモダニズムのもっとも大きな違いは進歩史観が存続しているか否かだと思った。ロシア・アヴァンギャルドの芸術家たちは、みな新しい人類の姿について思考している。スプレマティズムや構成主義未来派などさまざまな思想があるけど、すべて共通して人間の進化した姿について考えている。でも、ロシア・アヴァンギャルド社会主義革命と共鳴しているわけだから、そのような傾向が強いだけかもしれない。
個々の作品に関しては、文章で説明されたら意図するものがわかるけど実際に作品を見せられたらちんぷんかんぷんだろう、というものばかりだった。逆に、作品を見るよりも解説を読む方が楽しいのだろうと思った(こんなことをいったら怒られるのだろうけど)。だから、作品よりも人物に重点を置いて読んだ。ロシア・アヴァンギャルドにおいて活躍した芸術家たちはみな若くて、そういった若い感性がはじけていた時代の物語という感じだった。