『イワン・デニーソヴィチの一日』ソルジェニーツィン
- 作者: ソルジェニーツィン,木村浩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1963/03/20
- メディア: 文庫
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ソルジェニーツィンといえば東浩紀がデビュー作で扱った作家という知識しか持っていなくて、自分の無教養さを痛感した。
ソ連がまだ存在した時代、冷戦がリアリティを持っていた時代は、ぼくにとってはまったく遠い世界のように思える。ソ連崩壊が1991年、ぼくが生まれたのが1992年。でも、シベリアの極寒の収容所で毎日を過ごすことは、寒さや空腹といったわかりやすいイメージで想像力を煽るから、政治史としてのスターリンの独裁よりもはるかに身近に感じられる。それにしても、収容所生活を強いられているにもかかわらず、主人公シューホフはなぜか明るく、少し不気味に思えた。被害者意識がない。佐藤友哉はいわば被害者意識しかない作家で、普段から読んでいると気がつかないうちに卑屈になるのかも。