『集中講義!アメリカ現代思想―リベラリズムの冒険』仲正昌樹

集中講義! アメリカ現代思想 リベラリズムの冒険 (NHKブックス)

集中講義! アメリカ現代思想 リベラリズムの冒険 (NHKブックス)

5/31読了。今年52冊目。
アメリカの政治哲学としてのリベラリズムを現実の政治と絡めながら解説する、とてもわかりやすい本。リベラリズムvs.リバタリアニズムリベラリズムvs.コミュニタリアニズムといった構図を提示し、たくさんの人物や思想を簡潔に説明していく、という形式。筆者が前書きで書いているように、ストーリー性も感じられるような作りになっている。
わかりやすくて簡潔なのはいいことなのだけれど、それぞれの印象が薄くなりがちで情報量が多くなってしまうのが欠点。終盤を読む頃には序盤の議論は忘れてしまっていたり、結局読み返したりして時間がかかる。一気に読んでしまって、あとからさくいんを使って用語をチェックしていくのが効率がいいかもしれない。索引に限らず、対立/影響関係の図と年表も後ろに付録されているので、そういう部分のフォローは完璧。ここまで「わかりやすさ」を重視して本を書けるのはすごい能力だと思った。