『四季 春』森博嗣(講談社ノベルス)

四季・春 (講談社ノベルス)

四季・春 (講談社ノベルス)

すべてがFになる』の天才科学者、真賀田四季の少女時代。叔父、新藤清二の病院で密室殺人が起こる。唯一の目撃者は透明人間だった!?すべてを一瞬にして理解し、把握し、思考する才能に群がる多くの人々。それを遙かに超えて、四季は駆け抜けていく。其志雄は孤独な天才を守ることができるのか!?四部作第一幕。

2/7読了。今年11冊目。
ぼくには「萌え」という概念はよくわからないけれど、そのキャラクター性に強く反応するという意味では、僕の場合、かっこよさとかっこわるさが同居する中年男性と、そして天才だと思う。天才といっても、人によって作家によってその定義は様々で、ものによっては「こんなの天才じゃない」って腹を立てることもある。ぼくにとっての天才というキャラクターを形成している最も大きなキャラクターは、森博嗣が作り出した真賀田四季だと、躊躇なく断言できる。ぼくが森博嗣を初めて読んだのは中一の冬で、それから一年半くらい、飽きもせず森博嗣のミステリー小説を読み続けていた。『すべてがFになる』に至っては何回読んだかわからない。とはいっても、読んだのは最初の二つのシリーズと、スカイ・クロラシリーズの当時刊行されていた3冊、それと短編集くらいで、四季シリーズまで届かなかった。文庫が出たら読もうとか思っていた気がする。中三になっても森博嗣のブログは読んでいたけれど、小説はめっきり読まなくなった。このころくらいに、ぼくは森博嗣をミステリーとしてではなくキャラクター小説として読んでいたのではないかと思い始める。この秋くらいに久しぶりに読みたくなったけど、文理選択に偏った影響を与えると思ってやめておいた。ついに文理選択が終わって、解放された気分になった。さっそく図書館で借りてきて読んでみて、やっぱり面白いと感じられてよかった。自分が変化してしまって楽しいと感じなかったらどうしようかと思った。
内容に関しては、ミステリー小説というよりかは真賀田四季の生い立ちを描く小説。前の2シリーズの内容をイマイチ覚えていないのが残念だけど、それらを繋ぐものとしてこのシリーズはあるのだろうと思う。