『重力ピエロ』伊坂幸太郎(新潮文庫)

重力ピエロ (新潮文庫)

重力ピエロ (新潮文庫)

12/7読了。今年92冊目。
結局この人はまだ直木賞とってないんですね。個人的にはとって欲しいです。
ぼくは伊坂幸太郎の本は『ラッシュライフ』しか読んでないのだけど、最後まで読んで、この人は伏線の回収が本当に丁寧だなあと思いました。どうでも良さそうな挿話まできちんと後から取り出してきて、ちゃんと完結させる。1冊の本としてのまとまりが感じられます。
解説でも触れられていますが、とてもスタイリッシュな小説です。登場人物がみんな大人で、ユーモアの効いた会話をするのです。その中で主人公には感情が与えられていると解説で書かれていますが、ぼくはそれでもこの世界観を相対化するには足りないと感じます。別にそうする必要なんてないのですが、読んでいると何だか落ち着かない。登場人物は落ち着いているのに、そこに馴染めないぼくには不安になる。もっと大人になってから読めということでしょう、きっと。