『大衆教育社会のゆくえ』苅谷剛彦

8/22読了。今年69冊目。
ぼくは中学受験をしたので、今のところでは有利な学歴を持っている。しかし、私立の男子校に疑問を感じていて、こんな学校の出身者が大学受験に有利でよいのだろうかと最近急に気になり始めた。中学では私立を受験するか、地域の公立に行くしかなかったが、高校は公立もある程度学力別に進学できるようなシステムになっている。大阪府では府全体を4つの学区に分けているようで、かなり融通が利くようになっているらしい。能力別の教育って小学校のときからするとどうなるのか、と気になってこの本を手に取った。選択は間違っていなかったようで、この疑問は見事に解決した。
日本でも海外でも能力別学級は問題になるらしい。しかしその論点は全く違って、海外では出身階級(アメリカでは人種)がその編成に大きな影響を与える事が問題になるが、日本では能力別学級編成は「差別」だという不満が発生するらしい。それは日本の戦後の教育史にその原点を発見できる。この本全体としては平等主義や出身階級、学力と実力などを中心に、大衆教育者会が語られていく。
最近遊んでばかりいて、読むのにとても時間がかかったので、全体としての印象があまりないけれど、総じて良い読書体験だったと思う。