『三四郎』夏目漱石

三四郎 (新潮文庫)

三四郎 (新潮文庫)

熊本の高校を卒業して、東京の大学に入学した小川三四郎が過ごす、新しい出会いに満ちた日々。その中で彼が最も心惹かれる女性、里見美禰子。彼女の美しさと奔放さに三四郎は戸惑いながら、その気持ちが恋だと知り、さらに美禰子に翻弄されていく。青春の一時期に誰もが経験する、学問、友情、恋愛への期待と不安を、三四郎と彼をとりまく若者たちの姿を通じて鮮やかに描く。

8/8読了。66冊目。
解説は柄谷行人。それによると、学問と恋愛では恋愛に重点を置いている小説であるようだが、学問と恋愛の両方がうまく描かれている点で良いと思う。広田先生のところで哲学の煙を眺めては、美禰子への不思議な感情に悩んだり、与次郎に翻弄されたり、まさに青春だなという感じ。でもぼくは冒頭がもっとも好きだ。青春の始まりへの期待を感じさせる。偶然会った女性に度胸がないと言われる三四郎に共感してしまったのか。広田先生との出逢いはなかなか刺激的で良かった。