バカにならない読書術 / 養老孟司ほか

バカにならない読書術 (朝日新書 72)

バカにならない読書術 (朝日新書 72)

 ぼくは小学6年生の時に、流行に少し後れて『バカの壁』を読みました。あの本は確かにまとまりがないですが、当時のぼくにはとても斬新なアイデアがたくさんわかりやすく書かれていて、とても感動したのを覚えています。それからは読んでいないので、養老孟司の本を読むのは4年ぶりになります。
 この本の前半は養老孟司の「本を読むとはどういうことか」について書かれていて、後半は、養老孟司池田清彦、吉岡忍の様々なテーマに沿って、お薦めの本を話し合う鼎談です。まだ全部読んでいないので何ともいえませんが、内容はバカの壁より簡単で、小学校高学年でも読めるかといったくらいです。とくに後半はとても読みやすいです(ミステリや漫画などもテーマになっています)。

 二宮金次郎の伝記では、薪を背負いながら「本を読んだ」、つまり寸暇を惜しんで勉強したことを偉いと言っている。
 そうではありません。大事なのは「薪を背負いながら」の方なんです。家が貧しく、幼いころから手伝いをさせられた。どうすれば薪を効率的に運べるか、少しでも肩が痛くならない背負い方はないか、幼いなりに考えたでしょう。そうしながら本を読んだ。だからこそ、本をよりよく理解できた。「知育」「徳育」「体育」が子どものころから循環していたわけです。

この部分はとても面白いです。体を動かすと脳も動くといった話はバカの壁にも書いてあったし、ほかの場所でもよく見るのですが、こんな発想はなかなかない。